こんにちは山梨県相続遺言相談センターです。今回は上記のようなご質問にお答えするため、遺言能力(遺言内容と遺言書の作成経緯)について書いて行きたいと思います。
遺言内容と遺言書の作成経緯は遺言能力の判断材料としても重要です。公正証書遺言や自筆証書遺言を自身で作成する場合には参考にすると良いでしょう!
遺言能力とは
遺言者が有効な遺言をするには、遺言の際に意思能力(遺言内容及びその法律効果を理解判断するのに必要な能力)を備えている事が必要とされています。
民法上は下記のようになっており15歳に達した者は遺言をする事ができます。また民法962条では未成年者、成年被後見人、被保佐人等が遺言を行う場合であっても法定代理人、成年後見人は同意権や取消権を行使する事ができないとされています。
民法の条文
第962条 第5条、第9条、第13条 及び第17条 の規定は、遺言については、適用しない。
遺言能力と判例
遺言能力の判例
遺言能力に関しては平成16年の判例で上記のように述べられています。「簡単にいうと色々な事項を総合的に考慮して判断しましょう」と述べています。
そのため、認知症が進んでいる場合等、遺言能力に疑義がある場合は遺言作成に詳しい士業(弁護士、行政書士)などにまずは問い合わせの上、遺言作成を行った方が良いでしょう。遺言能力の中でよく問題になるのが下記の2点です。
遺言内容と遺言能力
遺言内容と遺言能力の関係としては一般的に遺言の内容が単純であれば病状その他の要素から判断能力が低下していても遺言能力は肯定されやすいです。
逆に遺言内容が複雑になればなるほど、相当程度の遺言能力が必要とされる為、遺言能力は否定されやすくなります。認知症等で意思能力が低下している場合は可能な限り短く、シンプルな遺言書を作成するように心がける事が大切です。
作成経緯と遺言能力
遺言の作成経緯や作成状況についても遺言能力の有無を判断する上では重要となります。遺言作成が遺言者の自発的意志によるものであると考えられる場合、遺言能力は肯定されやすいです。
逆に遺言作成に至る経緯として当該遺言により利益を受ける親族や他者が主体的に動いている場合や公正証書遺言作成時に遺言者が積極的な意思表示をしていない場合、遺言能力は否定される傾向にあります。
自筆証書遺言に関して全財産を相続させるとされていた者と旅行に行った際に作成されたという遺言作成に至る経緯が遺言能力を否定する根拠とされた判例があります。
遺言能力まとめ
認知症等が進んでいて遺言能力に疑義が生じる可能性が高い場合は主治医と連絡を取り診断書の作成をしてもらうと良いでしょう!
また、遺言の作成を積極的に進めているのが利害関係人の場合、遺言書が無効と判断される可能性が高いです。
そのように見られない為にも利害関係人は可能な限り遺言作成の立会い等はしない方が良いでしょう。今回の記事が甲府市や甲斐市など山梨県での遺言手続きの参考になりましたら幸いです。