娘に全財産を相続させる、という遺言を残したけど、万が一娘が私より先に亡くなった場合はどうなるんだろう?
こんにちは山梨県相続遺言相談センターです。今回は上記のような疑問にお答えするため、遺言の逆縁(予備的遺言)について解説して行きたいと思います。
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逆縁対策とは
逆縁とは遺言書に記した推定相続人が遺言作成者より先に死亡した時など、年長である親が若年である子に先んじて死ぬ事を指します。
相続の実務では逆縁が発生し、遺言書に記載した推定相続人が既に死亡していた場合、遺言の効力としての代襲相続は発生しません。
逆縁と代襲相続の判例1
判例上も「遺言者の意思は、相続開始の時点で指定された特定の相続人に承継させるところにあり、その子に財産を承継させる意思があるかどうかまでは判らない点では遺贈の場合と同様である」として代襲相続の規定の準用を否定した判例があり、不動産登記の実務では代襲相続を否定する立場に立っています。
逆縁と代襲相続の判例2
また、平成23年の判例でも「特段の事情のない限り、その効果(代襲相続)を生ずる事はないと解するのが相当である」と基本的には代襲相続を否定する判例が出ています。
実務での対応
そのため、専門家に任せずに自筆証書遺言や公正証書遺言を作成する場合は推定相続人の死亡に備えて下記のように予備的に代襲相続人等に相続させる旨を記載しておいた方が良いでしょう!
予備的遺言の例
- 第○条 遺言者は、遺言者の妻○○が遺言者より先に死亡した場合は、第1条の不動産を長男○○に相続させる
- 第○条 遺言者は、遺言者の妻○○が遺言者より先に死亡した場合は、第1条の不動産を山田花子に遺贈する
逆縁と遺言まとめ
このように遺言を作成する場合、逆縁対策を考えた方がいいです。ただ、逆縁対策は「万が一」を考えると永遠に遺言作成はできません(先ほどの例だと「妻と同時に長男が死亡した場合はどうしよう・・・」ということになります。)
また、大切な人の死はあまり想像したくない事柄ですので逆縁対策は程々でいいと私は考えています。今回の記事が遺言書作成の参考になりましたら幸いです。